ケアマネへの道① 介護保険ができる前の制度はどうなっていた?

ケアマネ試験対策

こんにちは、鍼灸師うさぎです。
ケアマネジャー試験の勉強を進める中で、「そもそも介護保険制度はなぜ始まったのか?」というところを勉強したので、
この記事では、介護保険制度が始まる前に使われていた制度の特徴や課題について、学んだことをわかりやすく整理のために書きました。


📌 この記事でわかること(3行まとめ)

  • 昔は医療と介護が別々の制度で支えられていた
  • 利用者の自由が少なく、手続きや費用面でも不便が多かった
  • それらを解消するために、2000年に介護保険制度がスタートした

🧭 介護保険が始まる前の「2つの制度」

介護保険制度が始まる前、高齢者の生活を支えていた制度は次の2つです。

制度名支援内容相談窓口
老人福祉制度生活・介護の支援市役所など自治体
老人医療制度病気・医療の支援病院など医療機関

この2つの制度が別々に運用されていたことが、さまざまな問題を生んでいました。


🏠 老人福祉制度は「措置」によって決まっていた

老人福祉制度では、介護サービスは「措置(そち)」という方法で提供されていました。

🔍 措置とは?

状況に応じて、国や自治体が「特別な対応」としてサービスを決定する仕組みです。

つまり、本人が「これを使いたい」と思っても、行政が必要だと認めない限り、サービスは受けられないということです。

たとえば…

🧓 山田さん(独り暮らし・要介護2)
手すりをつけてほしいと希望しても、「この人はまだ元気」と判断されれば却下されることもありました。

このような仕組みは、“本人の権利”としてのサービス利用ではなく、行政の判断次第の“おまけ”のような扱いでした。

🧠「反射的利益」という言葉で表現され、これは「本来の権利ではなく、行政の努力によって“たまたま得られる利益”」という意味です。


💰 老人福祉制度の負担は「応能負担」

もう一つの特徴が、「応能負担」という仕組みです。

🔍 応能負担とは?

所得(=支払い能力)に応じて負担額が決まる仕組みです。

  • 収入が多い人 → 多く払う
  • 収入が少ない人 → 少なくてよい

公平を目指した制度ですが、中間層の高齢者にとっては逆に負担が重くなるケースも多く見られました。

🧓 中間層の高齢者Aさんの例

  • 年金収入:月15万円ほど。生活はできるが余裕はない
  • 「低所得者」とは見なされず、負担額は高めに
  • 「手すりの設置」や「配食サービス」を希望しても…
     →「この金額ではちょっと無理…」と利用をあきらめることも

⚠ 老人福祉制度の“根本的な問題点”

  • 利用者が自由にサービスを選べない
  • 所得調査に心理的な抵抗感がある
  • サービスが画一的で個別のニーズに合わない

🏥 老人医療制度では「社会的入院」が深刻化

医療面では「老人医療制度」が高齢者の健康を支えていましたが、こちらにも大きな問題がありました。
それが「社会的入院」です。

❗ 社会的入院とは?

病気の治療が終わっているのに、家庭の事情などで退院できず、病院に長期間とどまってしまうこと。

たとえば…

  • 家族が遠方に住んでいて世話ができない
  • 介護施設に空きがない

➡ 本来は家や施設で過ごせるはずの高齢者が、病院に“泊まり続ける”状態に。

➤ 社会的入院の結果…

  • 医療費が膨らむ
  • 本当に治療が必要な人が入院できない

🌀 制度ごとにバラバラだったことが最大の課題

このような問題を引き起こしていた根本原因は、「制度がバラバラだったこと」です。

制度名支援内容窓口
老人福祉制度生活・介護の支援市役所など自治体
老人医療制度病気・医療の支援病院など医療機関

バラバラ運用によるデメリット:

  • 支払い割合が違う(介護:1割、医療:3割 など)
  • 書類・申請先が異なり手続きが面倒
  • 医療と介護の連携がなく、支援が途切れる

利用者にとって非常にわかりづらく、不公平な状態が続いていました。


🌱 だからこそ「介護保険制度」が必要だった

これらの課題を解決するために、2000年に誕生したのが「介護保険制度」です

この制度では…

  • 行政判断ではなく、本人の希望を重視
  • 医療と介護の制度間連携を強化
  • サービスは「反射的利益」ではなく、本人の“権利”として提供

使いやすく、利用者本位の仕組みが目指されました。


📘 次回予告

次回は、介護保険制度の目的や理念についてお話しします。お楽しみに!

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